人形にされた伯爵令嬢~婚約破棄された落ちこぼれ魔術師は時を越えて幸せを掴む~
「しかも私を探し出したとしても、ユベールのお祖父様には会えないというのに……」
「う~ん。そこは追々分かるんじゃないかな」
「分かる、とは?」
「秘密。今はリゼットを見つけられたこと、目を覚ましたことを祝おうよ」

 ね、と笑顔を向けられると、反論できなかった。何故なら笑うと、幼き頃に見たヴィクトル様を、余計に彷彿させるからだ。

 私は昔から、この顔に弱い。いけないことでも、笑顔を向けられると許してしまうし、曇らせたくなくて頷いてしまう。

 だから今も、私の返事は決まっていた。

「はい」

 すると案の定、ユベールは嬉しそうな顔を私に向けてくれた。
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