人形にされた伯爵令嬢~婚約破棄された落ちこぼれ魔術師は時を越えて幸せを掴む~

第9話 動力は魔石?

 両手を重ね、胸元にある赤い宝石を包み込む。そっと魔力を込めると、手の隙間から赤い光が漏れた。

「やっぱり魔石です、この石は。私の魔力に反応しますので」
「魔力……そうか。僕は残念ながら、これっぽっちも魔力がないから、ただの宝石にしか見えなかったんだ。あぁ、そんなことなら、もっと高く売れば良かったな」

 先ほど資金源と言っていたことから、容易に想像がついた。
 手がかりも宛もない。情報すらあるとは思えない中、私を探すのは難しいこと。

 いくらそれを生きる目的にしたとしても、ユベールは子どもだ。貴族……でもなさそうだし、両親もいない。
 生計を立てることすら困難のように思えた。

「他にはないんですか? その方から貰った宝石は。私なら魔石かどうか判別できると思います」
「それが……リゼットに付けた宝石、じゃなかった魔石が最後なんだ」
「えっ!? で、では、これからどうやって生活していくんですか? 私のことは気にせず、これを売って足しにしてください」

 私は胸元の魔石に手をかけた。が、すぐに両手を取られてしまう。
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