人形にされた伯爵令嬢~婚約破棄された落ちこぼれ魔術師は時を越えて幸せを掴む~
「……そう、だったな。しかし、死を選ぶのは軽率な行為だ」

 だったら、どうしたらいいの!

 そう叫びそうになる気持ちを、グッと飲み込んだ。

 先にも進めない。後ろに下がったとしても、待ち受けているのは、さらなる努力。努力しかないのだ。

 婚約破棄された娘を受け入れられるほど、私と両親の関係は強くない。幼くして手元を離れた娘だ。向こうも、どう接したらいいのか困るだろう。
 愛情を注がれた記憶もないのだから。

 さらに私が帰れないのは、ヴィクトル様が許して下さらないのだと、愛されているからなのだと、都合の良いように解釈していることも知っている。
 だから、無理して帰ってくる必要はないのだとも。
 年に数回、送られてくる手紙には、そう書かれていた。

 そんな両親と、上手くやれるとでも言うの?
 生きるためとはいえ、これ以上は……無理! もう、できないよ……!
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