人形にされた伯爵令嬢~婚約破棄された落ちこぼれ魔術師は時を越えて幸せを掴む~

第14話 絶叫(ユベール視点)

「あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 室内に響き渡るリゼットの叫び声。僕は居ても立っても居られずに、キッチンから飛び出した。

「リゼット!」

 駆けつけながらこういう時、家が狭くて良かったと思ってしまう。元貴族とはいえ、こんな平屋建てに住んで、と父さんは嘆いていたけれど。
 家が広かったら、こんな風に異変をすぐさま知ることはできないし、また駆けつけることもできない。

「っ!」

 しかし駆け寄ったとしても、僕ではどうすることもできない事態が、待ち受けていた。

「サビーナさん、これは一体どういうことですか?」

 テーブルの上に座っていたはずのリゼットが、サビーナさんの腕の中で苦しんでいる。しかも、胸元の赤い魔石がずっと光っているのも気がかりだった。

 アレはリゼットの魔力に反応する、と本人が言っていたからだ。
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