人形にされた伯爵令嬢~婚約破棄された落ちこぼれ魔術師は時を越えて幸せを掴む~
あれはリゼットが十一歳の時。五歳年上の私が結婚適齢期に差し掛かり、社交界に顔を出し始めた頃だ。
他の令息や令嬢との交流を深めることは、将来マニフィカ公爵を継いだ時に大いに役立つ。故に、外出頻度が多くなり、自然とリゼットとの時間が少なくなった。
すると邸宅内に、リゼットを揶揄する言葉が飛び交い始めたのだ。
『見捨てられた婚約者』『名ばかりの婚約者』『出来の悪い婚約者』
魔力量の多いリゼットだったが、これといった成果を出せずにいた。本来ならば、私がフォローしなければならない立場だったのに。
私が取った行動は、リゼットを遠ざけ、さらに追い詰める結果を生むこととなった。
「部屋を覗く度、ベッドではなく、机に伏せて寝る姿を見たら、声なんてかけられるか。私と話す時間があったら、ゆっくり休んで欲しかったんだ」
それなのに周りは、私が余所で令嬢と恋仲である、という噂を流し、リゼットはさらに、部屋に籠るようになった。
他の令息や令嬢との交流を深めることは、将来マニフィカ公爵を継いだ時に大いに役立つ。故に、外出頻度が多くなり、自然とリゼットとの時間が少なくなった。
すると邸宅内に、リゼットを揶揄する言葉が飛び交い始めたのだ。
『見捨てられた婚約者』『名ばかりの婚約者』『出来の悪い婚約者』
魔力量の多いリゼットだったが、これといった成果を出せずにいた。本来ならば、私がフォローしなければならない立場だったのに。
私が取った行動は、リゼットを遠ざけ、さらに追い詰める結果を生むこととなった。
「部屋を覗く度、ベッドではなく、机に伏せて寝る姿を見たら、声なんてかけられるか。私と話す時間があったら、ゆっくり休んで欲しかったんだ」
それなのに周りは、私が余所で令嬢と恋仲である、という噂を流し、リゼットはさらに、部屋に籠るようになった。