月に恋する一番星【マンガシナリオ】
12、空いた距離は。
〇教室、夜
唇が触れる寸前でハッとする悠月。咲奈の肩を掴んで離れる。戸惑ったような表情で目を見開き、動揺を見せる悠月。
咲奈「ゆ、悠月?」
悠月「ご、ごめん。もう帰るね」
慌てたように咲奈から距離をとり、自席にある鞄を持って教室を出る悠月。
1人取り残された咲奈。
咲奈モノ『悠月——?』
〇咲奈・家、咲奈の部屋、夜
咲奈のスマホの通知音が鳴る。
悠月メッセ「さっきはごめん。気にしないで」
咲奈(気にしないで、って……)
ベッドに寝転びスマホを操作する咲奈。*仰向け
咲奈メッセ「うん。また明日」
夜の教室での出来事を思い出す咲奈。
咲奈モノ『やっぱり嫌だったのかな——』
手首で目元を覆う咲奈。
咲奈(でも……)
(回想)顔を近づける2人
ベッドの上でジタバタする咲奈。*顔真っ赤
咲奈(キス、するところだった……)
起き上がって枕元のクマのぬいぐるみと向き合う咲奈。*1話冒頭で咲奈が抱えていたぬいぐるみ。
咲奈「あ、明日……悠月とどうやって話したらいいかな?」
咲奈「いや、でも別に付き合ってるわけじゃないし……」
咲奈「むしろ……拒絶された?よね……」
段々とテンションが下がっていく咲奈。
咲奈モノ『どうしたらいいの——?』
傍にある窓から夜空に浮かぶ月を見る咲奈。
〇(悠月視点)悠月・家、悠月の部屋
モノトーンの色味の部屋。広め。沢山のファッション雑誌が置かれている。*桜井アリサが表紙のものは一番目立つところに飾られている
桜井アリサのポスターが壁に貼られている。*咲奈の部屋にあるものと同一
机の上に伏せて置かれていた写真立てを手に取る悠月。
写真アップ。弾けるように笑う、転校前の制服を着た悠月と天音。
*天音:肩まで軽く巻かれた髪。悠月より若干明るい髪色、低めの身長
対照的に表情の乏しい現在軸の悠月、写真立てを再び伏せ、片手で頭を抱える。
悠月「ごめんね……」
〇(咲奈視点に戻る)翌日朝、学校、教室
教室に入る咲奈。悠月は既に来ている。悠月に声を掛ける咲奈。
咲奈「おはよう、悠月」
悠月「おはよう」
何事もなかったかのように返す悠月。
咲奈(……)
〇学校、昼休み
昼食を持って咲奈の周りに集まる友人達。
悠月は1人席を立つ。
咲奈「悠月、どこ行くの?」
悠月「ごめん。今日はちょっと……」
教室を出ていく悠月。
咲奈(……)
美鈴「あれれ?」
柚「やっと最近うちらと食べるようになったのにね~」
花火「残念残念」
咲奈を慰める友人たち
〇学校、放課後
咲奈「悠月あのさ……」
既に悠月の姿はない。
大地「藤堂ならさっき帰ったぞ」
通りがかった大地が珍しそうに言う。
大地「どうした?喧嘩でもしたか?」
咲奈「ううん。そんなんじゃないの」
〇咲奈・家、咲奈の部屋
スマホを操作する咲奈。
咲奈メッセ「明日、ちょっと話せない?」
悠月メッセ「ごめん。当分忙しい」
スマホを置いて溜息をつく咲奈。
咲奈モノ『確実に、避けられてる——』
〇数日後、学校、授業中
隣の席に座る悠月をチラッと見る咲奈。*机はつけていない
咲奈モノ『悠月の教科書は全て揃ってしまった』
引きで2人の距離感を描写。
咲奈モノ『悠月はこれ以上近くの距離を許してくれない——』
〇数日後、学校、昼休み
箸が進まない咲奈を心配そうに見る友人達。
美鈴「さーな?」
柚「おーーい」
花火「咲奈ってば!」
花火に肩を叩かれ、ハッと気づく咲奈。
優海「どうした?また何かあった?」
咲奈「いや、その……」
友人一同(ま、藤堂さんのことだろうけど……)
咲奈「と、友達の話なんだけど……」
柚「あ、咲奈の話ね?」
優海「ちょっと、柚」
咲奈「あ、うんまぁ……」
咲奈(好きな人がいることもバレてるし、良いか……)
咲奈「えっと、仲良かった子がなんか最近素っ気なくて……」
友人一同(知ってた)
咲奈「無視されるとかじゃないんだけど、なんか冷たくて……」
美鈴「何か心当たりはないの?」
後夜祭の教室での出来事を思い出し、赤面する咲奈。
花火「えっ、つ、付き合った……?」
身を乗り出す花火。それを制止する美鈴と優海。
咲奈「や、付き合ってはない、けど……」
柚「けど?」
咲奈「なんか、そういう感じになって……で、拒絶された」
美鈴「え、なんで?」
友人一同(なんか……咲奈が一番すごい恋愛してるような——)
花火「ちょっと、とう……いや、その人酷くない?」
優海「花火落ち着いて。何か事情があるかもしれないでしょ。ね?咲奈」
花火をなだめる優海。
咲奈「……うん。何かあるなら聞いて、受け止めたいと思ってる」
柚「愛だねぇ~」
うなずく友人一同。少しの沈黙の後、花火が口を開く。
花火「もう直球で聞くしかなくない?」
美鈴「花火みたいに効率重視なら良いけど咲奈は……」
花火「そう?回りくどくやったら、それこそ警戒されるでしょ」
優海「それはそうだけど……」
美鈴と優海が心配そうに咲奈を見やる。しかし咲奈はハッとしたように顔をあげた。
咲奈「そっか……」
美鈴「え?」
咲奈「よし、直球で聞いてみる!」
決心した咲奈に美鈴と優海は目配せし合う
優海「大丈夫かなぁ……」
〇学校、放課後
HR後、すぐに教室を出ようとする悠月を呼び止める咲奈。
咲奈「悠月、待って」
悠月「ごめん、用事あるから」
立ち去る悠月。
咲奈「ちょっ、悠月!」
悠月を追いかける咲奈。
咲奈モノ『どうして——?』
廊下を駆ける悠月と追いかける咲奈。泉水たちとすれ違い、追い越しながらも追いかける。
咲奈モノ『何が悠月をそこまでさせるの——?』
〇正門前(昇降口あたり)
悠月を追いかけ、昇降口まで行った咲奈。
正門前に悠月の姿。
そして悠月を取り囲む女子生徒たち*3人くらい、咲奈たちとは制服が違う、文化祭時に体育館の後方で咲奈たちの演劇を険しい顔で見ていた女子生徒と同一。
悠月を責め立てている様子に、慌てて咲奈が近づく。
女A「——天音の気持ち考えたことある?」
悠月に詰め寄る女A。
咲奈「悠月!」
咲奈に気づいて逃げ出す悠月。
女A「ちょっと、逃げないでよ!」
女B「罪の意識はない訳?」
女Aと女Bが立ち去る悠月に声を投げかける。
女C「あんた、藤堂の友達?」
女Cが咲奈の方へやって来る。
女A「この子、アリスじゃない?」
女B「え?ああ、あのふざけた劇の」
咲奈「ふざけたって何?確かに私はアリスでしたけど。どうして悠月を取り囲んで一方的に……!」
怒りながら言う咲奈を睨む女3人。
女B「藤堂は、うちらの友達……天音を傷つけたの」
女C「不登校にまで追いやったかと思えば、あいつまで学校来なくなってさ」
女A「逃げ出したくせに今は人気読モとか、ふざけんなよって話じゃん」
女Aは苛立ったように唇を噛み締める。
咲奈「どういうこと?悠月が何したって言うの?」
女C「それは……」
困ったように女Aと女Bを見る女C。
女A「いいじゃん、教えてあげるよ」
女B「この子も狙われたら可哀想じゃん。対策させてあげないと」
女C「それもそうだね。藤堂は——」
コソッと咲奈に耳打ちする女C。
目を見開く咲奈。
〇(悠月視点)公園、夕方
荒い息遣いで公園のベンチに腰掛ける悠月。
悠月モノ『すっかり忘れていた』
ベンチの背にもたれ、夜空を仰ぐ悠月。
悠月モノ『私は、誰とも仲良くすべきでないことを——』
悠月「ごめんね……天音」
悠月に笑いかける天音を回想する。
唇が触れる寸前でハッとする悠月。咲奈の肩を掴んで離れる。戸惑ったような表情で目を見開き、動揺を見せる悠月。
咲奈「ゆ、悠月?」
悠月「ご、ごめん。もう帰るね」
慌てたように咲奈から距離をとり、自席にある鞄を持って教室を出る悠月。
1人取り残された咲奈。
咲奈モノ『悠月——?』
〇咲奈・家、咲奈の部屋、夜
咲奈のスマホの通知音が鳴る。
悠月メッセ「さっきはごめん。気にしないで」
咲奈(気にしないで、って……)
ベッドに寝転びスマホを操作する咲奈。*仰向け
咲奈メッセ「うん。また明日」
夜の教室での出来事を思い出す咲奈。
咲奈モノ『やっぱり嫌だったのかな——』
手首で目元を覆う咲奈。
咲奈(でも……)
(回想)顔を近づける2人
ベッドの上でジタバタする咲奈。*顔真っ赤
咲奈(キス、するところだった……)
起き上がって枕元のクマのぬいぐるみと向き合う咲奈。*1話冒頭で咲奈が抱えていたぬいぐるみ。
咲奈「あ、明日……悠月とどうやって話したらいいかな?」
咲奈「いや、でも別に付き合ってるわけじゃないし……」
咲奈「むしろ……拒絶された?よね……」
段々とテンションが下がっていく咲奈。
咲奈モノ『どうしたらいいの——?』
傍にある窓から夜空に浮かぶ月を見る咲奈。
〇(悠月視点)悠月・家、悠月の部屋
モノトーンの色味の部屋。広め。沢山のファッション雑誌が置かれている。*桜井アリサが表紙のものは一番目立つところに飾られている
桜井アリサのポスターが壁に貼られている。*咲奈の部屋にあるものと同一
机の上に伏せて置かれていた写真立てを手に取る悠月。
写真アップ。弾けるように笑う、転校前の制服を着た悠月と天音。
*天音:肩まで軽く巻かれた髪。悠月より若干明るい髪色、低めの身長
対照的に表情の乏しい現在軸の悠月、写真立てを再び伏せ、片手で頭を抱える。
悠月「ごめんね……」
〇(咲奈視点に戻る)翌日朝、学校、教室
教室に入る咲奈。悠月は既に来ている。悠月に声を掛ける咲奈。
咲奈「おはよう、悠月」
悠月「おはよう」
何事もなかったかのように返す悠月。
咲奈(……)
〇学校、昼休み
昼食を持って咲奈の周りに集まる友人達。
悠月は1人席を立つ。
咲奈「悠月、どこ行くの?」
悠月「ごめん。今日はちょっと……」
教室を出ていく悠月。
咲奈(……)
美鈴「あれれ?」
柚「やっと最近うちらと食べるようになったのにね~」
花火「残念残念」
咲奈を慰める友人たち
〇学校、放課後
咲奈「悠月あのさ……」
既に悠月の姿はない。
大地「藤堂ならさっき帰ったぞ」
通りがかった大地が珍しそうに言う。
大地「どうした?喧嘩でもしたか?」
咲奈「ううん。そんなんじゃないの」
〇咲奈・家、咲奈の部屋
スマホを操作する咲奈。
咲奈メッセ「明日、ちょっと話せない?」
悠月メッセ「ごめん。当分忙しい」
スマホを置いて溜息をつく咲奈。
咲奈モノ『確実に、避けられてる——』
〇数日後、学校、授業中
隣の席に座る悠月をチラッと見る咲奈。*机はつけていない
咲奈モノ『悠月の教科書は全て揃ってしまった』
引きで2人の距離感を描写。
咲奈モノ『悠月はこれ以上近くの距離を許してくれない——』
〇数日後、学校、昼休み
箸が進まない咲奈を心配そうに見る友人達。
美鈴「さーな?」
柚「おーーい」
花火「咲奈ってば!」
花火に肩を叩かれ、ハッと気づく咲奈。
優海「どうした?また何かあった?」
咲奈「いや、その……」
友人一同(ま、藤堂さんのことだろうけど……)
咲奈「と、友達の話なんだけど……」
柚「あ、咲奈の話ね?」
優海「ちょっと、柚」
咲奈「あ、うんまぁ……」
咲奈(好きな人がいることもバレてるし、良いか……)
咲奈「えっと、仲良かった子がなんか最近素っ気なくて……」
友人一同(知ってた)
咲奈「無視されるとかじゃないんだけど、なんか冷たくて……」
美鈴「何か心当たりはないの?」
後夜祭の教室での出来事を思い出し、赤面する咲奈。
花火「えっ、つ、付き合った……?」
身を乗り出す花火。それを制止する美鈴と優海。
咲奈「や、付き合ってはない、けど……」
柚「けど?」
咲奈「なんか、そういう感じになって……で、拒絶された」
美鈴「え、なんで?」
友人一同(なんか……咲奈が一番すごい恋愛してるような——)
花火「ちょっと、とう……いや、その人酷くない?」
優海「花火落ち着いて。何か事情があるかもしれないでしょ。ね?咲奈」
花火をなだめる優海。
咲奈「……うん。何かあるなら聞いて、受け止めたいと思ってる」
柚「愛だねぇ~」
うなずく友人一同。少しの沈黙の後、花火が口を開く。
花火「もう直球で聞くしかなくない?」
美鈴「花火みたいに効率重視なら良いけど咲奈は……」
花火「そう?回りくどくやったら、それこそ警戒されるでしょ」
優海「それはそうだけど……」
美鈴と優海が心配そうに咲奈を見やる。しかし咲奈はハッとしたように顔をあげた。
咲奈「そっか……」
美鈴「え?」
咲奈「よし、直球で聞いてみる!」
決心した咲奈に美鈴と優海は目配せし合う
優海「大丈夫かなぁ……」
〇学校、放課後
HR後、すぐに教室を出ようとする悠月を呼び止める咲奈。
咲奈「悠月、待って」
悠月「ごめん、用事あるから」
立ち去る悠月。
咲奈「ちょっ、悠月!」
悠月を追いかける咲奈。
咲奈モノ『どうして——?』
廊下を駆ける悠月と追いかける咲奈。泉水たちとすれ違い、追い越しながらも追いかける。
咲奈モノ『何が悠月をそこまでさせるの——?』
〇正門前(昇降口あたり)
悠月を追いかけ、昇降口まで行った咲奈。
正門前に悠月の姿。
そして悠月を取り囲む女子生徒たち*3人くらい、咲奈たちとは制服が違う、文化祭時に体育館の後方で咲奈たちの演劇を険しい顔で見ていた女子生徒と同一。
悠月を責め立てている様子に、慌てて咲奈が近づく。
女A「——天音の気持ち考えたことある?」
悠月に詰め寄る女A。
咲奈「悠月!」
咲奈に気づいて逃げ出す悠月。
女A「ちょっと、逃げないでよ!」
女B「罪の意識はない訳?」
女Aと女Bが立ち去る悠月に声を投げかける。
女C「あんた、藤堂の友達?」
女Cが咲奈の方へやって来る。
女A「この子、アリスじゃない?」
女B「え?ああ、あのふざけた劇の」
咲奈「ふざけたって何?確かに私はアリスでしたけど。どうして悠月を取り囲んで一方的に……!」
怒りながら言う咲奈を睨む女3人。
女B「藤堂は、うちらの友達……天音を傷つけたの」
女C「不登校にまで追いやったかと思えば、あいつまで学校来なくなってさ」
女A「逃げ出したくせに今は人気読モとか、ふざけんなよって話じゃん」
女Aは苛立ったように唇を噛み締める。
咲奈「どういうこと?悠月が何したって言うの?」
女C「それは……」
困ったように女Aと女Bを見る女C。
女A「いいじゃん、教えてあげるよ」
女B「この子も狙われたら可哀想じゃん。対策させてあげないと」
女C「それもそうだね。藤堂は——」
コソッと咲奈に耳打ちする女C。
目を見開く咲奈。
〇(悠月視点)公園、夕方
荒い息遣いで公園のベンチに腰掛ける悠月。
悠月モノ『すっかり忘れていた』
ベンチの背にもたれ、夜空を仰ぐ悠月。
悠月モノ『私は、誰とも仲良くすべきでないことを——』
悠月「ごめんね……天音」
悠月に笑いかける天音を回想する。