月に恋する一番星【マンガシナリオ】
15、月と星が照らす世界。
〇10年後、ファッションショー会場、メイク室

 メイク室の椅子に座る桜井アリサ。アリサにリップグロスを塗る咲奈。*髪はボブカットに

アリサ「わー、それもしかして新色?星川さんやっぱりセンス良い~」
咲奈「今回のアリサさんにピッタリだと思いまして」

 その様子を感慨深そうに見る花房。

花房「……それにしても、咲奈ちゃんがこっち(ヘアメイク)に来るとは思わなかったなぁ」
近くの席に座る他のモデルのヘアセットをする花房。

〇(回想)数年前

 (花房視点)スマホが鳴り、電話に出る花房

咲奈「美容師免許取りました!」

 (咲奈視点)専門学校の卒業式。傍には大地と柚が励ますように立っている。*同じ服飾美容専門学校
(回想終了)

〇再び、ショー会場、メイク室

 衣装の確認をするJunna。

Junna「本当ねー。てっきりこっちかと思ってたから。でも良いのよ、私にはこの子がいたし」

 Junnaの傍で衣装の準備をする大地の肩を強く叩く。*スタイリスト見習い

大地「ちょっとJunnaさん、いきなり叩かないでっていつも言っているじゃないですか……」
Junna「独立前最後の仕事なんだから、気合い入れなさいよ~!」
大地「分かってますって」

 そこに駆け足で柚が衣装を持ってやって来る。*柚はフィッター、結婚指輪あり

柚「大地くん、縫製直し出来たよー」
大地「オッケー。デザイン会社さんのチェックは?」
柚「それが、莉佳ちゃん見当たらなくて……」
大地「マジか、あいつどこ行った」

 慌てふためく大地と柚。
 そこにインカムをつけた美鈴がやって来る。*美鈴はディレクター

美鈴「あれ、どうした2人とも」
柚「破れた箇所の縫製チェックしてもらいたいんだけど、莉佳ちゃん見なかった?」
美鈴「ええ?見てないなぁ。ちょっとインカムで聞いてみる——」

 インカムを操作する美鈴。
 そこに陽向がやって来る。*音響担当、結婚指輪あり

陽向「美鈴ちゃん、音楽の最終チェックお願い!あと花火ちゃんたちのマイクテストは終わった」
美鈴「了解。ちょっと一瞬だけ待ってー!」

 美鈴たちの慌ただしい姿を見て「やれやれ」といった表情で見る花房。
 アリサが手持ちの鏡を見ながら口を開く。

アリサ「そういえば、どうしてヘアメイクにしたの?」
咲奈「え?」
アリサ「さっき花房さんたちが言ってたことよ」

 少し考えてから話す咲奈。

咲奈「……初めてヘアメイクしてもらった時が、私の人生の転換点だったからですかね」

(悠月にメイクしてもらう咲奈の回想)

 そこにコツコツという足音。

悠月「おはようございます」

 メイク室に入る悠月。*ラフな格好、髪型変わらず。

悠月「アリサさん、今日はよろしくお願いします」
アリサ「よろしくYuzuki。同じ事務所の頼れる後輩と一緒で心強いわ」
悠月「ありがとうございます」

 メイクが終わり、花房の元に行くアリサ。

悠月「次お願い、咲奈」
咲奈「はーい」

 悠月のメイクを始める咲奈。

〇ショー会場、舞台袖。

 時間を確認する美鈴がインカムに向かって話す。

美鈴「それでは、オンタイムでお願いしまーす!」
陽向「了解!」

 美鈴の合図で音響設備を操作する陽向。
 音楽が流れ、同時に照明がつく。一気に沸き立つ会場。
 Yuzukiとアリサが並んでランウェイへ。

〇ショー会場、メイク室

 Yuzukiとアリサの中継映像を備え付けのテレビで見る咲奈と花房。
 そこに弁当屋の優海がメイク室にやって来る。*結婚指輪あり

優海「お弁当お届けに参りましたー!あ、咲奈久しぶり!」
咲奈「優海!久しぶりね。今悠月のランウェイだよ」

 テレビに目をやる優海。

優海「すごいじゃん!そうそう、今年のシークレットゲストって誰が出るの?てかいつ?」
咲奈「一組目はもうすぐ出るよ。ほら」

 テレビを指さす咲奈。
 Yuzukiと桜井アリサのランウェイが終わり、会場は真っ暗。
 司会者の花火がアップで映る。*アナウンサー

花火「それでは、一組目のシークレットゲストの登場です!」

 一気に会場が明るくなり、泉水を中心とした舞台役者たちがランウェイを歩く。

花火「来月7日に初日を迎える、舞台『新・金色物語』の皆さんです!」
優海「泉水ちゃん!?最近すごいよねー!」
咲奈「ね。私もびっくり」

 そこにスタッフがやって来る。

スタッフ「『PEACE CONNECT』の皆さんメイク入りまーす!」

 7人組の女性アイドルがメイク室に入る。

優海「じゃあ、私もう行くねー」
咲奈「うん。お疲れ様ー!」

 優海を見送るとアイドル達が続々とメイク室に入り、他のヘアメイクたちとそれぞれ話し始める。

花房「これからノンストップでメイクだから、気合入れてくよ」
咲奈「はい!」

 「よろしくお願いしまーす!」とアイドルの1人が咲奈の担当する席に座る。
 アイドルの顔が鏡に映る。
 満面の笑みを浮かべる天音。

咲奈「お久しぶり、天音さん。お元気そうで——」

〇ショー終わり、夜、咲奈と悠月が暮らすマンション前

 悠月のマネージャーが運転する車が咲奈と悠月の暮らすマンション前に停まる。
 車を降りる咲奈と悠月。

マネージャー「お疲れ様でしたー!」

 マネージャーの車を見送ってマンションのエントランスに入る2人。

〇マンションの廊下

 廊下を進む2人、部屋のドア前に着く。
 部屋のドアを開ける咲奈。

咲奈「え……!?」

 部屋を見て驚く咲奈。

〇2人が暮らす部屋

 咲奈の好きな可愛い装飾が施された室内。*ピンク系の風船や花、パーティー風の装飾など。
 何かに気づいた咲奈が窓際に駆け寄る。

咲奈「これって……!」

 夜景を望む窓際に2つのぬいぐるみ。
 2人が『LILY』に載った時のドレスとデザインがよく似た、ピンクと紫の衣装を着たアリスのぬいぐるみと、水色と紫の衣装を着た猫のぬいぐるみ。

咲奈「どうしたの?これ……」

 感激する咲奈を後ろから抱きしめる悠月。
 手元には箱に入った指輪。

悠月「私と結婚、してください」

 涙をこぼす咲奈。
 身体を離し、向き合う2人。
 悠月が咲奈の涙を拭う。

悠月「あの時と逆だね」

 泣きながら悠月を引き寄せ、抱きしめる咲奈。

咲奈「これからもよろしく、悠月」


(おわり)
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