月に恋する一番星【マンガシナリオ】
2、クールな転校生。
〇教室、HR後

 悠月の周りに群がるクラスメイトたち

クラスメイトA「どこの高校から来たの!?」
クラスメイトB「付き合ってる人とかっている?いないなら立候補しちゃおうかなー」
悠月「……」

 悠月はクラスメイトの問いかけに答えず、淡々と授業の準備をしている

クラスメイトC「ねえねえ、もしかしなくても『LILY』の読モだよね!?」

 クラスメイトCがスマートフォンをみんなに見せる。画面にはSNSのプロフィール。アカウント名はYuzuki、アイコンには顔に手を添えた悠月の写真。

 大きな声に、クラス中が一斉に悠月に注目する。

悠月「……そうだけど」

 一斉に湧き上がる教室内。

咲奈(わぁー!)
咲奈モノ『藤堂さん、めっちゃキラキラしてる……!』

美鈴「とんでもない人が来ちゃったね~」
柚「咲奈どうしたー?」

 悠月に目を奪われる咲奈に声を掛ける友人たち。

咲奈「キラキラしてる……!」
花火「いやキラキラって……」
優海「確かに美人だけど……」

 悠月の周りにいるクラスメイトたちの隙間から、悠月の顔がカメラ目線に。

咲奈(今……)
咲奈モノ『目が合った——?』

○教室、放課後

 変わらず悠月の周りに群がるクラスメイトたち。噂を聞いた他クラスからも人がやって来る。
 
 悠月に話しかける男女グループ。*賑やかなグループ。大地、陽向、泉水、莉佳の4人

陽向「これからみんなで遊びに行くんだけど、一緒に行かない?」*チャラそうな雰囲気、前髪センター分け、茶髪っぽい
泉水「行こ行こ、藤堂さん!」*正義感強め、明るい、きっちり1つに纏められたポニーテール
大地「行きたい所とかあるか?」*真面目、硬派、眉毛太め、黒髪短髪
莉佳「てか連絡先交換しよー」*ミステリアスな雰囲気、ぱっつん前髪、姫カット、黒髪

 悠月はそれを完全に無視して帰り支度をしている。
 その様子を遠巻きに見る咲奈。そこに友人たちがやって来る。

美鈴「ねぇ、これから新作飲みに行かない?」
柚「あ、行くー!」
花火「私も飲みたかったんだよね~」

咲奈(今日はちょっと……)
 顔を曇らせる咲奈。

優海「咲奈?」
咲奈「ううん、なんでもない。行く行く!」

咲奈(でも盛り下げたくないし、仕方ないよね)

 友人たちに続いて教室を出る咲奈。
 その様子を無言で見つめる悠月。

〇放課後、ベガ・ストリート

 友人たちと別れた後。
 俯いて歩く咲奈。

咲奈モノ『みんなと遊ぶのは楽しいんだけど……』

 大きなモニュメントが視界に入る。*1話で悠月が撮影していた所

咲奈モノ『ここ……あの子を初めて見かけた所だ——』

咲奈(きっと藤堂さんは気づいていなかっただろうけど……)

 撮影していた悠月を回想する。
 そこに老婆が話しかける。

老婆「あれっ、この前の子じゃないか」
咲奈「この前のおばあさん!お元気でしたか?」
老婆「ああ、元気元気。そうだ、この前のお礼にこれ。あの時のお友達にも」

 飴の入った袋を咲奈に渡す老婆。

咲奈「良いんですか?ありがとうございます!」

 去っていく老婆を見送る咲奈。

咲奈モノ『……って!急がないと——!!』

○咲奈の家、リビング、夜

 咲奈の母が夕食の準備をしている。*ミディアムヘアの髪を後ろで一纏めにしている
 リビングのTVからは夕方のニュースが流れている。

咲奈「ただいまー」
咲奈(やばいやばい……)

 咲奈は制服のままリビングのソファに座る。咲奈がチャンネルを変えると、ちょうどドラマが始まる。
 画面いっぱいに映るのは女優の桜井アリサ。*長い髪を巻いてツインテール、アイドルの可愛い衣装を着てステージで踊っている

咲奈「今日もかわいい~!人気アイドル役ピッタリすぎ!!」
咲奈の母「咲奈は本当にその子が好きねぇ」

 ご飯を茶碗に盛りながら咲奈・母が言う。

咲奈「めっちゃ可愛いもん!」

咲奈モノ『今絶賛話題の女優、桜井アリサ。モデル出身で、今はドラマだけでなく映画や舞台にも多く出演している。私が目指す、キラキラした人ナンバーワン!』

(回想)
 ランウェイを歩くアリサ。雑誌の表紙を飾るアリサ。舞台の中央で女神の演技をするアリサ。ドラマで若い女刑事役を演じるアリサ。
(回想終了)

咲奈(アリサちゃんみたいなキラキラした子になりたい……)
 ドラマを見ながら考え事をする咲奈。
咲奈(でも……)
咲奈モノ『似合うメイクとか分からないし……』

 (回想)メイクを失敗してしまう咲奈。
咲奈モノ『可愛い髪型も難しい……』

 (回想)動画を見ながらコテで髪を巻くも、変な方向に巻いてしまう咲奈。
咲奈モノ『どうしたら……』

 悩む咲奈の瞳と重めの前髪アップ。

〇咲奈の部屋

 枕元や棚にぬいぐるみがたくさんある。リボンや可愛いシールで飾られたコルクボード、桜井アリサのポスターが壁にある。
 風呂上がりの咲奈。ベッドに寝ころんでスマホの画面を見つめる。*ベッドはレースがついている。

咲奈モノ『そもそも、私ってどんな風にキラキラしたいんだっけ——?』

 枕元にあるぬいぐるみを抱え、ぬいぐるみに向かって1人喋る咲奈。*1話冒頭の回想で抱えていたものと同一

咲奈「アリサちゃんみたいなキラキラした感じも好きだし……」

 (回想)幼少期に見た少女戦士のアニメ

咲奈モノ『私が人生で最初にキラキラしてると思ったのは、アニメで見たヒーローの女の子』

咲奈(でもアニメだし……)

咲奈「私のなりたいキラキラって何だろう……?」

咲奈(……あっ!)

(回想)悠月の顔、悠月の髪*キラキラした感じ

咲奈モノ『あの子が何かヒントになるかも……!』

○朝、教室

咲奈モノ『藤堂さんが転校してきて一週間』

 友人たちの話に相づちを打ちながら、隣の席から悠月をこっそりと見る咲奈。
 悠月は1人、席についてスマホを見ている。転校初日に悠月を取り囲んでいた人は誰もいない。

女子A「……なんか、藤堂さんって思ったより大したことないよね」
女子B「だよねー。もっと性格良いと思ってた」
男子A「愛想がないよなー」
男子B「フツーに残念」

 ヒソヒソと陰口を叩く生徒たち。彼らに批判的な視線を向ける咲奈。あまりに大きな声に、心配そうに見つめる咲奈の友人たち。
 陰口を叩く生徒に泉水と大地が割って入る。

泉水「ちょっとあんたたち、そういうこと言うのやめなよ」
大地「そうだぞ。せめて場所は考えろ」
女子A「は、なんなの?」
男子A「だるいって」

対立し合う泉水たち男女グループと陰口を叩く生徒たち。
 悠月は表情を一切変えず、スマホを操作している。。

莉佳「まーまーまー、泉水落ち着いて」
陽向「言っても仕方ないって。藤堂もゴメンな?」

悠月は立ち上がり、クラスメイトを一瞥する。

悠月「そういうのいいから」

静まり返る教室。教室から出ていく悠月。

咲奈モノ『藤堂さんは孤立していた——』

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