月に恋する一番星【マンガシナリオ】
7、目が離せない。
〇撮影現場、スタジオ

 メイクをして衣装を着る咲奈。*衣装はピンクと紫がメインのパステルカラーの丸いシルエットのミモレ丈、可愛い系のメイク、ラメ多め、髪は編み込みのハーフアップで下ろした髪はウェーブがかかっている。花の形をしたアクセサリー。
 全身鏡で自分の姿を確認する咲奈。

咲奈(やばー!可愛いすぎるよ~!)

撮影監督「Yuzukiのその感じも良いねぇ」
悠月「ありがとうございます」

 まずは悠月のソロショットから。世界観に合わせて可愛い表情やポーズをする悠月。*衣装は水色と紫がメインのパステルカラー、膝丈で、レースのバックリボンが床まで垂れ下がっている。可愛い系の垂れ目と涙袋強調メイク、髪は部分三つ編みをしてカチューシャのように、下ろした髪の毛先だけウェーブ。蝶モチーフのアクセサリー。

咲奈モノ『悠月、こんな表情もするんだ……』

 悠月に見惚れる咲奈。

撮影監督「じゃあ咲奈さん入ってー!」
咲奈「は、はい!」

 撮影ブースに入り、悠月の隣に並ぶ咲奈。

撮影監督「まずは背中合わせから!」

 撮影監督の指示通りに立つ2人。
 2人の写真が撮られていく。花やぬいぐるみなどの小物を持つなどする。

撮影監督「よし、それじゃーYuzuki、咲奈さんの後ろに立って手を回してみようか」
悠月「はい」

 撮影監督の指示通りに咲奈の後ろから手を差し入れる。

咲奈(これ……)

 今朝見た夢を思い出す咲奈。顔を赤らめる。

撮影監督「はい、2人とも正面向いてー!咲奈さんリラックス!良いよ良いよー!」

咲奈(悠月が近くて、緊張する~!)

撮影監督「いいね!2人そのまま見つめ合ってみて」

咲奈(み、見つめ……)

 動揺する咲奈。身体をさらに密着させ、咲奈の右側から顔をのぞき込む悠月。

悠月「咲奈」

 名前を呼ばれた方に顔を向けると、悠月と目が合う。
 悠月の顔アップ。

咲奈(悠月……可愛くて、キラキラしてる……)

 顔を赤らめ悠月に見惚れる咲奈。

咲奈モノ『どうしよう、目が離せない……』

 写真が撮られる間、恍惚とした表情の咲奈。慈しむような表情の悠月。

撮影監督「オッケー!良い、すごく良い!新しい!!『LILY』の表紙にしたいくらいだ……!」
悠月「新しいって……」

 満足そうに頷く撮影監督。複雑そうな表情をする悠月。
 咲奈と悠月のアクセサリーを外すJunnaと花房。
 真顔の咲奈。*考え込む様子

〇撮影現場、控室

 1人で控室に入る咲奈。他のモデルの荷物は既に無い。*咲奈の顔は映さない

〇(回想)撮影現場、スタジオ

 着替えて私服に戻った咲奈と悠月。そこに声をかける担当者。

担当者「Yuzuki、次々号の特集で着てほしい衣装があって……」

 タブレットを見せる担当者。それを見ると眉を顰める悠月。

悠月「……過度な露出があるので、お断りします。胸元が大きく開いていますし」
担当者「これが今の流行りのスタイルよ?」
撮影監督「そうだな、良いチャンスじゃないか?今日の撮影みたいに、いつもと違うYuzukiを出していくことで、新たなファンが増えるかもしれない」
悠月「……いいえ。流石に胸元を強調したデザインは、私の価値観の許容範囲外です」

 衣装を抱えたJunnaが悠月たちに近づいてくる。

Junna「そうね。新しいモノに挑戦するのも大事だけど、自分の信念を大切にすることも、同じくらい大事よね」
悠月「はい。自分らしさを失ってまで、知名度を上げたくありません」

咲奈(大勢の大人の前で堂々と意見が言えるの、すごいな……)

担当者「分かったわ」
Junna「流行りのデザインなら、こっちのデザインも良いんじゃない?」
 
 担当者の持つタブレットの一部を指さすJunna。

担当者「そうですね。Yuzuki、次々号の衣装ここで決めちゃいましょう」
悠月「はい。咲奈は先、控え室に戻って休んでて」
咲奈「うん」

 スタジオを出る悠月と担当者。その姿を見送る咲奈。
 咲奈に話しかけるJunna。

Junna「咲奈ちゃんはYuzukiみたいに読モに興味ないの?」
咲奈「いや、あんまり……」
Junna「そっかー。じゃあはい、これ」

 咲奈に名刺を手渡すJunna。

咲奈モノ『え——?名刺?』

Junna「もしスタイリストに興味が出たら連絡ちょうだい」

 咲奈とJunnaの元にやって来る花房。

花房「あ、Junnaさんずるい。俺も俺も」

 咲奈に名刺を渡す花房。

花房「俺、桜井アリサのメイクやってんだ。興味あるなら美容師免許取ったら連絡してよ」
Junna「あら、私だってアリサの衣装やってるわよ。スタイリストは免許とかないから、興味出たらすぐ!すぐに連絡してよね」
(回想終了)

〇再び撮影現場、控室

 Junnaと花房の名刺を机に置く咲奈。
 撮影した時の悠月を思い出す。ドクドクと心臓が早鐘を打つ。*ここまで、咲奈の顔を映さない。
 ふと、立てかけてある全身鏡の自分と目が合う。そこにいたのは顔を真っ赤にした咲奈。

〇(5話の回想)
優海「じゃあその子は、お友達さんにとって“特別”なんだね。だから気になるんじゃない?」
咲奈「特別?」
柚「そ。親友とか、恋愛的に好きとか」

○友人らの会話の回想と共に、悠月との思い出が流れる
花火「彼氏に特別扱いされるの良いよね」

 (メッセージアプリのQRコードを見せる悠月の回想)

優海「話せるだけで嬉しいけど、段々もっと近い距離にいたくなったり……」

 (撮影で密着し、見つめ合う2人)

美鈴「分かる!ちょっとしたことで一喜一憂しちゃう」

 (悠月が「付き合う訳ないでしょ」と言ってホッとするも、「好きになったことがある」と答えられ、心を痛める咲奈の回想)

柚「彼氏といる時の自分『なんかいいな』って思える」

 (カフェで「メイク関係なくキラキラしてると思う」と悠月に言われ、赤面する咲奈の回想)

花火「何故か、いきなりその人が輝いて見えるのよ」

 (転校初日に教壇に立つ悠月の回想)
(回想終了)

〇再び撮影現場、控え室

 鏡に映る真っ赤な顔の自身を見つめ、心臓を押さえてその場に座り込む咲奈。
 心臓がバクバクと鳴る

咲奈(そっか……私……)
咲奈モノ『恋、してたんだ。悠月に——』

〇数週間後、朝、学校、教室
 教室のドアを開ける咲奈。クラスメイトたちが一斉に咲奈に注目する。
 きょとんとする咲奈。
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