初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
 だから、なるべくあの人とは距離を置きたいけれど……どうしても食事は一緒になってしまうんだよね。

 とりあえず、賽は投げられた。後は自分で道を切り開かなきゃいけない。

 私はヘリヤさんが先生を連れて来てくれるまで、本を読んで待つことにした。




 しばらく読書していると、ヘリヤさんが図書室に戻って来た。

「ヒナタ様、お待たせしました。こちらミシェレ様です。このドレクスレル神殿の筆頭書記官様なんですよ」

 ヘリヤさんが連れて来てくれたのは、眼鏡をかけた壮年の女性で、とても上品な人だった。

「は、初めまして! 私はえっと……姫詩と申します」

 私は慌てて立ち上がってお辞儀した。

 神殿の筆頭書記官って……! 役職名を聞くだけで、とても偉い人なのだとわかる。

 まさかヘリヤさんが、そんなにすごい人を連れてくるとは思わなかった。

「あぁ……! 貴女様がリーディア様の御魂をお持ちのヒナタ様なのですね……!」

 ミシェレさんが、私を見て目を潤ませている。

 まるで、大ファンの推しに会ったかのような表情だ。

「あ、えっと……」

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