初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
「それは、生きとし生けるものの持つ良くない感情や悪意──悪い想念が溜まって生まれたモノですよ。例えば、苦しみや悲しみ、憎しみに恨み、苦痛、絶望……そんな負の感情が”悪きモノ”となって、人々に害を齎らすのです」

 ひゃー! それって怨念とか呪いとかそんな類いのものなのかな……?

 ファンタジーの世界なのに、ホラー要素もあるなんて!

「ふふ、ヒナタ様は”悪きモノ”が怖いようですが、それらはここ神殿には入って来れませんから、ご安心ください」

 真っ青な顔で怖がっている私を安心させるように、ミシェレ先生が教えてくれた。

「それに、ヒナタ様は”悪きモノ”を浄化出来るじゃありませんか。何も恐れる必要はありませんよ」

「そ、それはそうかもしれませんけど……っ」

 出来ればそんなものとの遭遇だけは回避したい。

 さっきオリヴェルさんが言っていた神殿の外が危険、という言葉は、”悪きモノ”がいるから危険ってことだったなのかな?

「基本、”悪きモノ”は戦場のような荒廃した場所に顕れます。森の奥地でも時々目撃されていますから、そういう場所に近づかなければ大丈夫ですよ」

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