初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
 玲緒奈ちゃんと優希ちゃんが私に歌って欲しいとおねだりする。

「ちょっと二人とも、ひなちゃんが困ってるよ? そんなに歌が聴きたいなら私が歌ってあげる」

 困っている私を見かねた楓怜ちゃんが、雰囲気を悪くしないように気を遣ってくれた。

「あっ、ひなごめん。無理強いしちゃって……」

「ごめんな〜。困らせるつもりなかってんけどな……」

 楓怜ちゃんの言葉を聞いて気付いたのか、優希ちゃんと玲緒奈ちゃんがしょんぼりしてしまう。

 二人は悪くないのに……私のノリが悪いせいなのに、と思うと申し訳なくなる。

「ううん! 私の方こそごめんね! みんなの前で歌えるように秘密の特訓するよ! 上達したらお披露目するから!」

「ほんと?! 楽しみにしてる!」

「やった! ひなのワンマンショーや! オールナイトや〜!」

 暗くなりかけた雰囲気が明るい雰囲気に戻る。

「楓怜ちゃん、ありがとう」

 私が小声でお礼を言うと、楓怜ちゃんがにっこり微笑んでくれた。ホントに天使!

 それから、私はみんなが歌うたびに全力で応援した。

 もしかするとタンバリンの振りすぎで明日筋肉痛になっちゃうかも。
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