初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
第1話 平和が一番やで〜
私は小さい頃から悪役が好きだった。
周りの友達は正義のヒーローやヒロインに夢中だったけど、私は毎回ヒーローにやっつけられる運命の悪役をいつも応援していた。
だって悪役はヒーローより頭脳明晰で、すごい科学技術を持っている。
例えば、あるキャラは一人でUFOやロボット、巨大なハンマーなどの優れた武器を作っていたし、とあるキャラは多くの部下を従え、お金に物を言わせて高度な防衛機能を備えた巨大な城をたくさん持っていた。
こんなに優れた頭脳や技術を得るために、悪役はどれだけ頑張って来たんだろう……と思うと、応援せずにはいられない。
目標を達成するために手段を選ばないぐらい強い意志を持っていると思えば、共通の敵が現れた時はヒーローと手を組む懐の広さ、ふとした時に見せる優しさや弱さ。
私の目に映る悪役は、いつもカッコ良く輝いて、私を惹きつけて止まなかった。
それに悪役には悪役なりの正義があって、視点を変えればヒーローの方が悪になることがあるんじゃないかな、と思う。
──正義は一つじゃない。人の数だけ、その人なりの正義があるのだ。
……なんて必死になってしまうほど悪役が好きだった私は、一生モノの黒歴史を作ってしまうのだけれど。