初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
「あ、うん。ちょっと前からね。どうしても欲しいものがあってさ」

「えぇっ! 教えてくれたらいいのに! どこでバイトしてるの?」

 きーくんがバイト……もし接客業なら大変なことになりそうだ。連日女性客で大繁盛しそう。

「バイト先は隣町のファミレスだよ。そこの厨房でバイトしてる」

「厨房?! ウェイターじゃなくて?!」

「うん。店長からはどうしてもホールに出て欲しいって言われたけど、料理の練習をしたかったから断った」

「あ〜〜。そりゃ店長さんはそういうよねぇ」

 店長さんも集客のチャンスだと思ったんだろうな。

「でもすごいね! 私、きーくんの作った料理食べてみたい!」

 きっと器用なきーくんなら、作る料理も宮廷料理人並みに違いない。

「うん。ひなに料理を作ってあげたくて、バイトを始めたんだ」

「え……っ」

「ひなは食べるのがすごく好きだろ? だから俺の料理でひなを喜ばせてあげたいなって」

 まさかのきーくんの言葉に、私の心臓がドキッと跳ねる。
 さっきは切ない痛みだったけど、今はトキメキ過ぎて心臓が痛い。

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