初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
 今の関係が続くなら、それだけで私は幸せだと、心から思う。

 ──そう、恋人になれなくても、私がきーくんを大好きなことに変わりはない。それはきっと、永遠に変わらない事実だから。

 すっかり心が軽くなった私は、無意識に歌を口ずさんでいた。

 鼻歌のような小さい声だけれど、まるで口から嬉しさが零れ落ちるかのように。

「優希ちゃんたちとも約束したし、歌の練習もしなくちゃね」

 正直にいうと、私は歌を歌うのがとても好きだった。

 だけど何故か歌が苦手だと思うようになって、無意識に歌わなくなったんだと思う。

 自分では上手いか下手かはわからないけど、恥ずかしくないレベルまで上達したい。

 私は近所迷惑にならないように、小さい声で歌ってみた。

 カラオケで楓怜ちゃんが歌っていた曲だ。

 それは片思いの女の子の歌で、今の私にぴったりだった。



『──み……けた』



「えっ?」

 私がしばらく歌っていた時、誰かの声が頭の中に響く。

「だ、誰っ?!」

 驚いた私は周りを見渡すけれど、もちろん姿が見えるはずなくて。

「ええ……っ、何? もしかして幽霊……?」

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