初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
「こんなところにいるなんて珍しいですね。何かあったんですか?」

 宇賀神さんに「可愛い」と言われたけれどスルーする。

 これは宇賀神さんなりの挨拶だし、女慣れしてる人に言われてもあまり嬉しくないし。

「ああ、何かあった訳じゃないんだけど……心配性な”魔王”から頼まれてね」

「え? きーくんが……?」

「昨日のこともあってか、随分ひなちゃんのことを心配していてね。待ち合わせ場所にひなちゃんが早く着くようなら、守って欲しいってさ」

「……は?」

 宇賀神さんから聞いた話に私は絶句する。

 この人にこんなお守りのようなことを頼める人なんて、きーくんぐらいだと思う。

「まあ、俺もちょっと過保護すぎじゃね? と思ったんだけど、どうしてもって言われてさ。でもこうして来てみて正解だったかな」

「え? 正解って……?」

 私には宇賀神さんの言葉の意味がよくわからない。

 不思議に思っていると、宇賀神さんがにっこりと微笑んだ。

「今日のひなちゃんすごく可愛いし。そりゃこんな子野放しには出来ないなぁって」

「ふえっ?! か、かわ……っ! 野放し……っ?!」

 宇賀神さんから褒められた私は驚き過ぎてキョドってしまう。この人もキーくんと同じぐらいヒトタラシだ!
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