初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
 そんなきーくんが涙を見せたのはその時の一回だけで、彼は美しい見た目に反してかなり気が強かった。
 大人でも泣きそうなケガをしてもケロッとしてたし、男女と揶揄うガキ大将は取り巻きごとフルボッコにしてたし。

 私はそんな強くて綺麗なきーくんが大好きだった。
 私の初恋はもちろんきーくんだ。

 私ときーくんは小中高と同じ学校で、不思議なことにクラスもずっと一緒だったから、腐れ縁を運命だと勘違いした時期もあった。

 きーくんは小さい頃からずっと老若男女から凄まじいほどモテていたけれど、モテすぎて人間不信にでもなったのか、今までも高校に入学してからも一度も彼女や彼氏を作ったことはない。

 ちなみに高校入学をきっかけに、きーくんは陰キャデビューした。
 普通は逆だろうけれど、長めの前髪と大きめのメガネをかけて顔を隠してしまったのだ。
 そのおかげか、きーくんに人が群がるようなことは減ったけど、それでも隠しきれない色香がダダ漏れで、密かに女子達に人気がある。

 きーくんがどうしてもモテてしまうのは……もう諦めるしかないんだろうな、と思う。

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