初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
「うん、やっぱりひなによく似合う」
「あっ、有り難う……っ!」
きーくんがブレスレットを付けてくれたことと、綺麗な顔を間近で見てしまったこともあり、恥ずかしくて顔が真っ赤になる。
それに、きーくんの手が触れたところが、とても熱く感じるのは──気のせいかな?
「来年も再来年も……その先もずっと、ひなと一緒に誕生日を祝いたいな」
そう言って微笑むきーくんに、私の心臓の鼓動が限界まで速くなる。
これ以上好きにさせて、きーくんは私をどうしたいのだろう。
毎日毎日、これ以上好きになっちゃダメだって自分に言い聞かせているのに、好きな気持ちはあっさりと限界を超えてしまう。
──きーくんには、すごく大切な人がいるのに……。
「そうだね。本当にそうだったらいいな……っ」
「……ひな?」
きーくんの言葉は嬉しいけれど、喜べば喜ぶほど、きーくんが好きな人の影がチラついて、私の心をぎゅうっと締め付ける。
「ううん、何でもない! ブレスレット、本当に有り難う……っ! 失くさないようにするね!」
私は頑張って笑顔を作る。こんなに早く練習の成果が出るとは思わなかった。
……まだ告白もしていないのに。