初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
「もし失くしてしまっても、俺が見つけるから安心して」
きーくんは私がブレスレットを失くすんじゃないか、と心配していると思っているらしい。
確かにそれも心配だけど、私が心配していたのは違うことで。
それでも、私を安心させようとするきーくんの優しさがとても嬉しい。
「ふふ、きーくんなら本当に見付けてくれそうだね。頼りになる幼馴染を持って本当に幸せ者だよ」
今度は本当の笑顔が零れた。
きーくんと出逢えて、本当に幸せだと思ったから。
「──ひな……っ!」
私を見たきーくんが、一瞬驚いた顔をしたと思うと、ぎゅっと私を抱きしめた。
「え……?」
突然きーくんに抱きしめられて、私の心臓がもう限界だと悲鳴をあげている。
私は身体から魂が抜けていく感覚に、ああ、誕生日が命日になるのか……と、覚悟を決め──ようとして我に返った。
何故なら、私を抱きしめるきーくんの腕が、微かに震えていたからだ。
「……きーくん? どうしたの?」
心配になった私はきーくんに声をかける、けれど。