初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
 だけど、いくら鮮やかな色で彩られた光景を目の当たりにしても、私の目には色褪せた景色に映ってしまう。

 ──隣にきーくんがいないなら、どんなに素晴らしいものを見ても、感動出来ないんじゃないかな、なんて。

「ヒナタ様、お加減はいかがですか?」

 私がぼうっと景色を眺めていると、侍女のヘリヤさんが様子を見にきてくれた。

 ノックしてくれたけど、ぼんやりしていた私は気づかなかったみたい。

「……うん、身体はどこも悪くないよ」

 心配そうなヘリヤさんに向かって、私は安心させようとにっこり微笑んだ。

 ヘリヤさんは私と同じぐらいの年頃の女の子だ。

 年が近いからか、何となく親近感を覚えている。

「でも、ヒナタ様は何もお召し上がりにならないじゃないですか……っ! お願いですから、一口でも召し上がってください……!」

 豪華な部屋の真ん中辺りに、大きなテーブルが鎮座している。

 その重厚なテーブルには、これまた豪勢な料理の数々が。

 テーブルに所狭しと並べられた料理はどれも美味しそうで、見覚えがある料理もいくつか見かけた。

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