初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
 ヘリヤさんが見せてくれたのは、一見すると普通のハンドベルだった。

「へぇ〜〜。ここから音が届く訳じゃないですよね?」

「はい。そちらは魔道具で、風の魔法が込められていますから。どちらかというと音じゃなくて、魔力が届くんです」

「魔法!? やっぱりこの世界には魔法があるんですね!」

 魔法と聞いた私はついはしゃいでしまう。

 やっぱり異世界ときたら魔法だし。

「ヒナタ様のいらっしゃった世界には、魔法は存在していないのですね」

「そうなんです。だから魔法陣を見た時びっくりしちゃって……」

 まさか科学が発展した世界で、魔法陣を見ることになるなんて。

 普通の学生だった私が予想出来る訳がない。

「あ、それとお聞きしたいんですけど、神聖力と魔力は違うんですか?」

 私はこの機会に、と思い、ヘリヤさんを質問攻めにしてしまう。

 本で調べるより、聞いた方が早いし。

 ……ヘリヤさんにはすっごく申し訳ないけれど。
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