初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
 そして移動手段は馬車以外に魔導列車、飛行艇なんてものもあると書いてある。

「えぇ〜〜っ! もう何でもアリの世界じゃ……!」

 世界地図があるから、高度な測量技術があるんだろうな、って思っていたけど……。

 まさか近世どころか、現代レベルの文明を持っていたなんて……!

「原動力は魔力なんだ。石油とか電気じゃない分エコかも」

 自然豊かだから、環境破壊もないんだろうな。

 きっと私が知っているレベルの現代知識なんて、全然役に立たなさそう。

 本の内容に感心していると、入り口の呼び鈴が鳴った。

「あ、もうこんな時間……!」

 気がつけば、窓の外はすっかり陽が傾いていて、間もなく夜になろうとしていた。

「失礼します。ヒナタ様、そろそろお食事の時間ですが……」

 ノックの後、ヘリヤさんがワゴンを押して入ってきた。

「すみません! 少々お待ちください!」

「そう慌てられなくても大丈夫ですよ」

 私が急いで本を戻している間、ヘリヤさんはお皿やポットを回収してくれた。

「あ、サンドイッチとても美味しかったです! ご馳走様でした」

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