初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
 髪の毛を洗おうとすれば、ブレスレットが濡れるのは必至で。

「え……どうしよ……」

 やっぱり髪を綺麗にするのは、侍女さんたちに……ん?

 髪を洗う時だけでも、侍女さんたちにお願いするべきかと思ったけど、私の頭の中にある考えがひらめいた。

「浄化……! 汚れを浄化出来れば……!」

 私はひらめいたことをすぐさま実行した。

 頭の中で身体中の汚れを消すイメージを思い浮かべてみる。

 すると、身体中に爽やかな風が纏わり付き、すうっと消える感覚がした。

「すごい……! 成功した!」

 浄化した髪の毛はサラサラで、傷んでいたところまで綺麗になっていた。

 どうやら浄化だけでなく、治癒の力も働いたのかも。

 浄化を試してとても便利だな、って思う。でも正直、お湯で頭を洗いたい気持ちがあったりする。

「二者択一ならブレスレットを取るよね」

 だけど、きーくんとの思い出を壊すわけにはいかない。

 もし一生このままだったとしても、私はブレスレットを取るだろう。

 身体も温まったし、すっかり綺麗になったし、ということで、私はお風呂から出ることにする。

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