初恋が実る瞬間、異世界召喚に邪魔された私。聖女なんて断固拒否させていただきます!〜魔王な幼馴染の溺愛は、世界を越えるようです〜
「……うむ。……気のせい、か。……ああ、これは失礼しました」
オリヴェルさんはそう言うと、ずっと握っていた私の手を離した。
と同時に、緊張が解けたのか、身体の力が抜け落ちそうで。
ものすごい重圧に、未だ恐怖で心臓が震えている気がする。
オリヴェルさんはただ、ブレスレットを見ていただけなのに……。
「この神殿の中でしたらどこへ行かれても構いません。ですが、くれぐれも外へは出ないでください。とても危険ですからね」
「……はい」
私はただ一言、返事をするだけで精一杯だった。