雨の物語 ザ レイニーズストーリー
 「よしよし。 それじゃあ委員を決めようじゃないか。」 担任の重松聡先生は黒板に向かった。
早速、俺が俺がの合唱が始まる。 「うるさいな。 決めるんだから黙ってなさい。」
振り向いた重松先生は騒いでいるやつらに釘を刺して、また黒板に向かった。
 「クラス委員は、、、、、。」 「上田君がいいと思います。」
木村さんが元気良く提案した。 それに誰も異論は無いようだ。
「じゃあ、上田でいいんだな?」 「はーい。」
 当人は(どうしたものか?)と悩んでいるようですが、加藤さんの一押しで決められてしまいました。 可哀そうに、、、。
 「では副クラス委員だが、、、。」 「それはもちろん、加藤さんです。」
「おいおい、それでいいのか?」 「いやいや、待てよ。 それじゃあ可哀そうだろう?」
 男子の中からいろんな意見が出てきまして、、、。 「では、これは保留にしようか。 次は図書委員だ。」
「それは言うまでもなく田川さんでしょう?」 「何でだよ?」
「だっていっつも本を読んでるじゃない。」 「それだけ?」
 「それだけって何よ?」 「お前はそこしか見てないのか?」
「いいじゃない。 本好きを推薦してるんだから。」 「だからって田川さんは、、、。」
 何人かで言い争いをしていると結城さんがポツリ、、、。 「やりたくない人はやらなくていいんじゃ?」
その一言に灰原君まで凍り付いてしまった。 「じゃあ、どうするんだ?」
 重松先生も気が気ではないようで、皆を見回しています。 「分かりました。 私、やります。」
「イェーーーーーー!」 「馬鹿。 雰囲気を考えろ。」
調子に乗る遠藤君を成田君がバッサリ、、、、。
 まあ、それでもぼくらは取り敢えず仲良しなんです これでも。 「一応の委員は決まった。 後で3年生の委員長に報告しておくように。」
重松先生もハラハラしながら最初のホームルームを無事に終えました。 そんなわけでいざ下校時間です。

 ぼくと順子は帰りが同じ方向なので、、、とはいうけど緊張してます 思い切り。
だってさ、中学までは別々だったんだもん。 買い物やなんかではよく見掛けてたんだけどさ。
 バス停までなぜか黙ってます。 何を話したらいいのか分からなくて。
それにしてもいい天気。 肌寒いけど空は真っ青。
 バス停に着いてもぼくらは黙ったまま突っ立ってます。 その前を車が何台も通り過ぎて行きます。
バスが来るのは20分後。 それまで我慢できるかなあ?


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