夜桜ユメナの夢魔法



 まだ数日しか経っていないがゴールデンウィークに入った。
 
 ゴールデンウィークはばっちり初夏のはずなのに今年はもう暑く、ニュースの「記録的な暑さ」は5月にしてもう聞き飽きてしまった。
 そんな僕は

 ーー暇だ。


 学校もなければ塾にも通っていないため、とても暇である。

 じゃあなにをしているかって、自室のベッドの上で転がっているだけ。

 そんなの全く意味がないじゃないかと言われれば終わりである。

 ちなみに今はもう7時半近く、夕方とは言わないけれど夜ともいいがたい。そんな時間だ。

 え、まぁ夜までずっと転がってたかというと、もう全クリしたゲームをしたり、居間に昼ごはんを食べに行ったりと、一応動いてはいた。

 つまり暇なのだ。

 そんな時。

「あーやとー!!」
 誰かに名前を呼ばれた…なんて回りくどく言う必要はない。僕の母だ。

「なにー」
 と返事をしながら居間へ向かう。

「ちょっとおつかい行ってきて!」
「え」
「牛乳とー、食パンとー、えっと?あ、そうそうバナナもないんだったわ。あとはえのきとヨーグルト!メモにかくからちょっと待ってて?」
「……今から…?」
 
 僕の母はこういう人だ。
 明るくて元気でよくしゃべる。

 ちなみに広沢家の家族構成は、父、母、5歳上の兄、僕、の4人である。

「はいこれメモとお金ねー!あ、駅前のスーパーが安いからそこでよろしく〜」
「…はーい」

 一応着替えて出発。

 夜のゴールデンウィークに用事ができたようだ。


 ……用事っていうのかこれは。
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