開発部の門野さんの愛はとにかく重い。
◇
「彩耶ちゃん、これ、門野さんによろしく」
「あぁ、こっちも頼むよ」
私のデスクの上にどんどん山積みにされていく紙束。
それに若干頬を引きつらせつつも、抗議する元気などない。だから、私はいつものように部屋の隅にある台車に紙束を積んでいく。
(本当、なんで私が伝言係……?)
伝言係というか、配達係というか。なんなら、雑用係といってもおかしくはない。
最近では私はこの仕事を経理部だけではなく、他の部署からも押し付けられるようになっていた。
(なにが、『重吉さんは彼に気に入られているから~』よ。あれのどこが気に入られているのよ!)
乱暴に台車に紙束諸々を積み込んで、私は経理部の部屋の扉を開ける。
最後に振り返って上司や同僚たちに「行ってきます」とやけくそに伝えれば、彼らは手を振った。
……他人事だと思って!
「重吉さん、お疲れ」
「本当重吉さんがいてくれて助かるわ」
廊下を歩いていると、他部署の先輩社員たちが次々に声をかけてくれる。
さすがに他部署の先輩社員に抗議をするわけにはいかなくて、私は曖昧な笑みを浮かべて台車を押し続けた。
「あれ、彩耶ちゃん。……またなの?」
ふと前から聞こえた声。その声に、私は顔を上げる。
そこにいたのは明るい茶色の髪を肩の上で切りそろえた、愛らしい女性。
「あぁ、うん……まぁ、ね」
「大変そう……。私も手伝えたらいいんだけど」
「いいのいいの。あの人は気難しいから」
ゆるゆると首を横に振って、私は彼女の側を通り抜ける。
彼女の名前は杉中 李未。
私の同期で、入社してからずっと仲良くしている。ちなみに彼女は営業部所属。
「彩耶ちゃん、これ、門野さんによろしく」
「あぁ、こっちも頼むよ」
私のデスクの上にどんどん山積みにされていく紙束。
それに若干頬を引きつらせつつも、抗議する元気などない。だから、私はいつものように部屋の隅にある台車に紙束を積んでいく。
(本当、なんで私が伝言係……?)
伝言係というか、配達係というか。なんなら、雑用係といってもおかしくはない。
最近では私はこの仕事を経理部だけではなく、他の部署からも押し付けられるようになっていた。
(なにが、『重吉さんは彼に気に入られているから~』よ。あれのどこが気に入られているのよ!)
乱暴に台車に紙束諸々を積み込んで、私は経理部の部屋の扉を開ける。
最後に振り返って上司や同僚たちに「行ってきます」とやけくそに伝えれば、彼らは手を振った。
……他人事だと思って!
「重吉さん、お疲れ」
「本当重吉さんがいてくれて助かるわ」
廊下を歩いていると、他部署の先輩社員たちが次々に声をかけてくれる。
さすがに他部署の先輩社員に抗議をするわけにはいかなくて、私は曖昧な笑みを浮かべて台車を押し続けた。
「あれ、彩耶ちゃん。……またなの?」
ふと前から聞こえた声。その声に、私は顔を上げる。
そこにいたのは明るい茶色の髪を肩の上で切りそろえた、愛らしい女性。
「あぁ、うん……まぁ、ね」
「大変そう……。私も手伝えたらいいんだけど」
「いいのいいの。あの人は気難しいから」
ゆるゆると首を横に振って、私は彼女の側を通り抜ける。
彼女の名前は杉中 李未。
私の同期で、入社してからずっと仲良くしている。ちなみに彼女は営業部所属。