開発部の門野さんの愛はとにかく重い。
開発部の門野さんはエリートだけれど偏屈、ちょっぴり苦手
梅雨真っ只中の六月下旬。久々に晴れたこともあり、私はお昼休憩に李未ちゃんを誘って外へ食事に行くことにした。
雨が降っていると外を歩くのもついつい億劫で、社員食堂で済ませてしまう。
けれど、たまには……と思ったのだ。
幸いにも李未ちゃんは今日は外回りではなくて、「行く行く!」と喜んでくれた。
本社ビルの一階、エレベーターホールで李未ちゃんを待っていると、後ろから「重吉さん」と名前を呼ばれる。
「……村木さん」
そこにいたのは、システム開発部の責任者である村木さんだった。
彼は日々門野さんに振り回されていて、私はこっそりと心の中で【同士】と呼んでいる。
「今からお昼?」
四十代の彼は、いつものようににこやかな笑みを浮かべて私に声をかけてくれる。
彼の手にはランチボックスがある。可愛らしいデザインのもので……言っちゃあ悪いけれど、四十代の男性には似合わない。
「はい。杉中さんを待っていて」
「あぁ、キミたち同期入社だったっけ。……仲がいいことはいいね」
笑った彼は、私の視線がランチボックスに注がれていることに気が付いたらしい、髪の毛を掻いていた。
雨が降っていると外を歩くのもついつい億劫で、社員食堂で済ませてしまう。
けれど、たまには……と思ったのだ。
幸いにも李未ちゃんは今日は外回りではなくて、「行く行く!」と喜んでくれた。
本社ビルの一階、エレベーターホールで李未ちゃんを待っていると、後ろから「重吉さん」と名前を呼ばれる。
「……村木さん」
そこにいたのは、システム開発部の責任者である村木さんだった。
彼は日々門野さんに振り回されていて、私はこっそりと心の中で【同士】と呼んでいる。
「今からお昼?」
四十代の彼は、いつものようににこやかな笑みを浮かべて私に声をかけてくれる。
彼の手にはランチボックスがある。可愛らしいデザインのもので……言っちゃあ悪いけれど、四十代の男性には似合わない。
「はい。杉中さんを待っていて」
「あぁ、キミたち同期入社だったっけ。……仲がいいことはいいね」
笑った彼は、私の視線がランチボックスに注がれていることに気が付いたらしい、髪の毛を掻いていた。