双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?


『〝コイツ〟なんて父親に言っちゃダメだよ、王史郎。

君の父はこれから、もっと偉大になるんだ。お前たちは、いずれ僕の後を追って……おっと〝お前たち〟じゃないな。王史郎は騎士団をやめて、吸血鬼になったんだものね』

『父さん!誰のせいで王史郎が、』

『イオ、いい。構うな』

『でも!』


王史郎は、私とイオくんの前に出る。そして火を消すように、いくつもの青い宝石を、燃え盛る炎の中から生み出した。


『最強だとか、偉大だとか。
悪いけど、そんな話は興味ない』


青い宝石により、火の海に亀裂が走る。火の海の外側に抜けられる、僅かに歩けるスペースが出来た。

王史郎は、イオくんに「行け」と小声で促す。


『さゆを助けられるのは、イオしかいない』

『でも王史郎を一人きりに出来ないよ!』

『今まで吸血鬼を相手にしてきたお前なら、分かるだろ?吸血鬼ってのは、しぶといんだ。これくらいで死なないよ』

『……その言葉、覚えておいてよ。約束だからね!』


イオくんが私を抱え、一気に走り出す。

遅れて気づいたモクは『しまった!』と。巨大な鎌で退路を塞ごうと、妨害を試みる。

だけど――

 キンッ

青い宝石で同じく鎌を作った王史郎が、モクの攻撃を防いだ。

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