双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?
モクがお礼を言った時。
線香花火のような淡い光が、モクの足元に浮かんでは弾ける。
よく見ると、モクの体の向こう側……
その景色が、透けて見える!
「え、これって⁉」
「あぁ、力を使いすぎたか……僕は少し眠るよ」
「ね、寝る⁉ちょっと!私の中の宝石はどうなるの⁉」
スカッ
半透明になったモクに、もう触ることはできない。伸ばした手は、悔しくも空を切るばかり。
「どうなってるのー!」と慌てる私を一瞥した後、モクは二人に向き直った。
「彼女の中にある赤い宝石を、大切にするんだよ。もし壊そうなんて思ったら……」
「続きはなんだよ?父さん」
父さん――王史郎から、この言葉を聞いたモクの顔が、少し穏やかになる。嬉しそうに見えたのは、きっと気のせいじゃない。
「おい、父さん?」
「ふふ、ごめんね。時間切れだ。しばらくの間、おやすみ」
そう言い残したモクは、完璧に姿を消してしまう。
肝心な言葉が聞けずじまいとなり、私たちは声を揃えて「はぁ⁉」と叫んだ。