双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?
「どうやら、ぜーんぶ思い出したようだな」
「ひぃ!」
王史郎が私を覗き込む。
その時、信じられないくらい心臓がはねて……やっと自覚した。
どうして他の子の血を吸うのが嫌なのか。
どうして王史郎を見ると心臓が跳ねるのか。
どうして「王史郎から指輪がほしい」と思ったのか。
――簡単なことだ。
答えは、私の中にあった。
「――……っ」
自覚してしまった。
この気持ちの名前を、見つけてしまった。
私は、恋をしているんだ。
どうしようもないくらい、王史郎が好きなんだ――
「なぁ、さゆ。今さゆの血がほしいって言ったら、怒るか?」
「え……」
さっきまでの意地悪は、どこかへ行ったらしい。王史郎の優しい顔が〝好きな人補正〟も入って、キラキラ輝いている。
「血を吸われるのが嫌なら、正直に嫌って言ってくれ。無理しなくて大丈夫だから」
「大丈夫だからって……」
吸血鬼のご飯=人の血なのに。
飲まなくて大丈夫、なんてこと、あるわけないのに。
こんな時でさえ、私を気持ちを大事にしてくれる王史郎。……ズルい。
そんな優しさを見せられたら、もう素直になるしかない。