双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?

周りは住宅街なのか、一軒家が建ち並んでいる。もう遅い時間なのか、電気がついている家は疎らだ。

外は街灯が頼りの、心細い暗さ。
だからこそ、気づけなかった。

こんな暗闇に人が紛れているなんて。
私の背後に、静かに立っていたなんて。
声を掛けられるまで、気配すら感じなかった。


「おい」

「ひぅ……⁉」


ビックリして喉がへしゃげた。かなりの恐怖を感じた時、人って本当に声が出なくなるんだ。

恐る恐る振り返ると、真後ろに端正な顔立ちをした男性が立っていた。年は同じくらい……と言っても、着ている服は大人っぽい。白のタートルネックに、黒いロングコート。


「…………さゆ」

「どうして私の名前を知ってるの?」

「え、――あ」


パッと、男性は自分の口を押さえた。
マズイ、と言わんばかりの動きだ。


「何でもない。独り言だ。
にしてもお前、寒くないのか?」


白シャツの上に紺のカーディガン。
下は茶色のチェックのスカート。
プラス、黒タイツ。

確かに、イギリスの気温と違うかも。
でも今は、温度よりもヤバい問題がある。


「両親が消えちゃった上に、帰る家もありません……!」

「……」

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