双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?
「おい、どこに行くんだよ」
「息抜き、してくる!」
ガタリと席を立つ私に、王史郎の眉が片方だけあがる。
「あんま遠くへ行くなよ。いざって時に守れないからな」
「わ、分かってるよッ」
「あと、他の誰にも触らせるなよ。さゆは俺だけのものだから」
「……言葉が、抜けてるよ」
そこは、さゆ「の宝石」は俺だけのものだから、って言ってくれないと。聞く人が聞けば、束縛の強い彼氏みたいだ。
それに涼しい顔で「守る」とか、簡単に言わないでほしい。聞くたびに、なんか、こう……恥ずかしいもん。
結局――小さな声で「いってきます」と言った私に、王史郎は無言で手を振る。
スルーしてもいいのに、わざわざ手を振ってくれるなんて。律儀な吸血鬼だ。
「はぁ~王史郎って掴めない人だなぁ」
――教室を出て、しばらく廊下を歩く。
授業中ということもあって、すごく静かだ。おかげで、さっきまで混乱していた頭が、徐々に冷えていく。