双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?
どうやら私の何かがいけないらしい。もっとも「それが何か」は分からないけど……。
なんとなく申し訳なくて、イオくんの腕の中で縮こまる。その時、一際大きな音でイオくんの心臓が鳴った。
「何がタチ悪いか分からないんだけど、きっと私が悪いんだよね?ごめんなさい」
「うん……ほんと、勘弁して」
空中を、ありえない速さで移動するイオくん。騎士団との差がグングン開いていき、私の冷や汗も引いて行く。どうやら逃げ切れるみたい。
「すごい、まさか逃げられるなんて……イオくんのおかげだね!」
「だから、そういう顔が……はぁ。もういい」
グッとガッツポーズをするも、イオくんの反応は冷たい。
疲れた顔をして「よかったね」と言ったきり。目的地があるのか、イオくんは迷いなく飛び続ける。
イオくん、どこへ行くんだろう?
っていうか――
私のこと、本当に助けてくれたんだ。
本来、味方である騎士団に背を向けてまで、私を逃がしてくれた。イオくんは、私の中の宝石を狙っているのに。
「ありがとう、イオくん」
「……別に」
「ふふ。本当にありがとう」
その時、風の音に紛れて聞こえなかった。
「はぁ……無防備すぎて困る」
笑った私を視界に納めながら、イオくんが呟いた言葉。
その言葉を、ずっと私は知らないまま。
☪︎·◌˳𓇬