双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?


「そういえば、どうして騎士団は宝石を狙うの?」

「簡単だよ、吸血鬼の手に渡らせないため。敵に強くなられたんじゃ最悪だからね。それに騎士団も〝強くなりたい〟って願望があるんじゃない?」

「〝あるんじゃない?〟って……イオくんは団長で、騎士団の中で一番に偉いんでしょ?それなのに、騎士団の人たちが何を思っているか知らないの?」

「……」


スッ、とイオくんの瞳が細められた。
冷たい温度が、一気に瞳に宿る。


「騎士団の皆が団長思いなら、さっきも追い回されなかっただろうね」

「あ……」


確かに。さっきの状況――団長であるイオくんが「止まれ」って命令を出したら、騎士団は従うはず……通常は。

でも、イオくんはそうしなかった。
「しても無意味」と知っていたからだ。


「俺は騎士団長の後継者ってだけで、実力で地位を確立したわけじゃない。だから皆から反感を買うんだ」

「へ?」


前髪の影が、顔に落ちる。
イオくんの瞳に、太陽の光は届かない。

いや、イオくんの瞳にっていうか……この景色、全部に。まるで真っ暗な世界にいるようで…………


「ん?」

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