双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?
バタン
王史郎の声を背中で聞きながら、ドアを閉める。駆け足で自分の部屋へ向かい、そのままベッドへダイブした。
「はぁ、はぁっ」
小走りで乱れた呼吸を整える。
スー、ハー。
深呼吸して、いざ――
勢いよく、枕へ顔を押し当てる!
「王史郎の、バカ野郎ー!」
古典的な方法で、たまった不満を一気に吐き出した。こうでもしないと、王史郎に直接言ってしまいそうだったから。
「分からずやー!」
「頭のかたい吸血鬼ー!」
だけど……王史郎が私を心配してくれていたのも、きっと本音なわけで。
『あんま遠くへ行くなよ。いざって時に守れないからな』
『他の誰にも触らせるなよ。さゆは俺だけのものだから』
あの言葉の後に姿を消した私と、敵であるイオくんと二人揃って玄関に入って来る姿を、どんな気持ちで見たんだろうと。下にいる吸血鬼に、遅すぎる想いをはせた。
「素直に〝ありがとう〟〝ごめんね〟って言えなかった、私のバカやろう~……」
王史郎と私。
6:4くらいの割合で、交互に不満をぶちまけた後。
濡れた服や体を乾かしもせず、私はいつの間にか寝てしまった。
☪︎·◌˳𓇬