双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?
「なんだよ……変なこと言ってないだろ?」
「王史郎さ、言葉をかける相手を間違ってるよ。お風呂に入っても、二人の話し声が聞こえたよ。
ずいぶん一方的に、さゆを責めるじゃん。その割には言葉が少ない。ちゃんと言ったの?
さゆが心配だから、もっと警戒してほしいって」
「……言ってない」
はぁ~~~~と、イオの長いため息が、俺の耳を貫通する。色んな意味で〝耳が痛い〟。
「さゆ、俺といるのに王史郎王史郎ってさ。耳にタコができたよ」
「は?なんで〝俺のこと〟?」
「腹立つから教えなーい。
さゆが心配なのは分かるけど、言葉にしないと伝わらないよ。王史郎の、昔からの悪い癖だね」
「……ん」
俺がしおらしくなったと同時に、イオは部屋をキョロキョロして「さゆ本当に寝たの?」と、眉を八の字にする。
「疲れたから寝るらしい」
「いいけど、お風呂も入らず?風邪ひかない?」
「は?風邪?」
首を傾げる俺に、イオが白い目を寄こす。
昔「ゴキブリ怖い」と、俺にハエたたきの棒を持たせたイオ――軟弱すぎてドン引きした、あの時の俺の目にソックリだ。