双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?


「……よく分かんねーな」


頭をぽりっとかいた後、冷蔵庫に向かう。

そう言えば、昔イオとケンカした時、よくオムライスを食べていたっけ。卵の上に、ケチャップで「ごめん」って書いてさ。


「オムライスでいいか?」

「俺が大好物なの、もう知ってるでしょ」


口に弧を描くイオが手を伸ばし、俺の手にあるケチャップを求めた。

「文字は俺が書く」という事なんだろうが……いくら俺より字がキレイだろうが、主導権を渡すわけにはいかない。

俺の手で、誠心誠意ごめんって書けば、またさゆは笑ってくれるんじゃないかって。そんな気がするから。


「おいイオ。食べるなら、少しは手伝え」

「ちぇー。久しぶりの帰省で疲れてるのに」

「残念だったな、諦めろ」

「はいはーい」


文句を垂れながら、時にはニッと笑いながら、男二人の手料理が始まる。

具材の入ったフライパンを振りながら、たまに二階へ耳を傾ける。……何の音もしない。ということは、大人しく寝たのか。

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