双子のボディーガードは最強吸血鬼と最恐騎士!?
「さゆ、早く行け!」
「わ、わかった……!」
怒声に後押しされて、やっと足が動いた。
振り返ると、剣を構えた王史郎の後ろ姿がある。真っすぐ伸びる背筋に、ためらいはない。
王史郎のお父さん、モクだってそうだ。息子に剣を向けられているというのに、視線は王史郎ではなく、私を追っている。
「私が運命の子だから気になるのかな?
でも、運命って何!?」
絡み、もつれ合う足に、無理やり力を入れる。すると、なんとか階段を降り切ることができた。
だけど目の前に置かれた棚に、運悪くぶつかってしまう。
ガチャン
落ちたのは、粉々になったフォトフレーム。
写真だけ拾い上げると、小さな王史郎とイオくん、そして彼らの両親と目が合った。青空の下、みんなカメラ越しに笑っている。
「これ……」
感傷に浸っていた、まさにその時。立っていた地面に、突如としてブラックホールが出現する。「え、えぇ!?」先の見えない真っ暗な世界に、勢いよく足から呑み込まれた。
「きゃあ!?」
「さゆ!」