このかわいいはキミだけのため
校門の前には生活指導員の熊谷がいる。

図体がデカくいかにも体育会系といった性格の持ち主だ。

コイツにバレるとくどくどと説教をされるためメイクバレの回避は必須。

目を合わせないように俯き他の生徒に紛れるようにして熊谷の横を通り過ぎた。

ふう、なんとか今日もセーフ。

社会に出たらメイクはマナー。

そのくせ学校でのメイクは校則違反。

どうなっているのよ、世の中は。

わたしは教室に入る前にポケットから手鏡を取り出して顔をチェックした。

化粧よし、前髪よし。

ああでも顔はやっぱりイマイチ。

鼻は低くて丸いし。

奥二重はパッとしない。

可愛くないわたしは嫌い。

「キャハハ」

追い打ちをかけるように教室から聞こえる女子の甲高い笑い声。
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