このかわいいはキミだけのため
わたしの陰口で笑っていたらどうしようと不安が広がる。


『陽奈美ってかわいこぶってるだけで顔はそこまでだよね』


ふと嫌な記憶が脳裏をよぎった。


顔のこと?


それとも体型?


しょうがないじゃん容姿は選べないんだから。


教室の前で尻込みしていると、


「吉野さん、おはよう。教室入らないの?」


と声をかけられて顔を上げた。

澄んだ瞳がわたしを捉えている。


「望月…」


彼はクラスの学級委員長の望月春馬。

3年になって初めて同じクラスになったがわたしとは正反対な性格である真面目さが正直言って嫌い。


学校に行きたくない気持ちなんて知りもしないでしょ。
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