【私は今日も癒やしの『喫茶MOON』に通う】

第28話 帰りに本屋さんに寄るチョコちゃん

 今日の仕事は瑠衣とアパレルブランドの出荷の倉庫で服を畳んだり、検品をしたり、Tシャツの袋入れの作業をしていた。
 トキさんと旦那さんのお見舞いも仕事帰りに瑠衣と行って、私は瑠衣と別れたあとに駅前の本屋さんに行った。

 このままじゃいけない。

 このままじゃいけないと思っているくせに、日頃の生活に追われてるせいにして変化を怖れていたんだ。

 私はなにかしなくちゃと焦っていた。
 瑠衣と話をして危機感をもった。
 今まで蓋をしてきた問題に、目を背けていたことに、向き合わなければならないと思っていた。


 私は家から一番近い駅前のビルの本屋さんに向かった。
 資格の本やこれからの人生になにか希望を持てるなにかや、答えみたいな物、女ひとりでおひとりさまで生きていくために何をすべきか。
 人生をもうちょっと良い方向へと、指南をしてくれそうな本を探しに行こうと思った。

 駅の本屋さんに行くと、サラリーマンや大学生ぐらいの人やキャリアウーマン、親子連れやたくさんの人で賑わっている。

 BOOKカフェも併設されて、買う前の本も一部読めるようだった。

 本屋さんに来るのは久しぶりだった。生活がギリギリでハードカバーの本が欲しくなっても買えない。
 我慢ばかりするのがイヤで、いつしか遠ざかっていた。

 図書館に行くようにしていたけど、今日はこの手に一冊は役に立ちそうな本を手にして、ちょっと安心したかった。

「いらっしゃいませ」

 後ろから声を掛けられて、振り返る私の目にマルさんが映っていた。

 私の心臓が早鐘を打つ。

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