【私は今日も癒やしの『喫茶MOON』に通う】

第6話 働くチョコちゃん

今日の派遣先は大きな物流倉庫で、私はひたすらベルトコンベアとローラーを流れて来る商品を、別のレーンに載せ変えて届け先ごとに仕分けていた。



 汗が滴したたり落ちて止まらない。

 喉が乾く。

 空調がまったく設備されていない古い倉庫の一角には50人ほどが働いていた。

 派遣社員と正社員は服装が違う。

 正社員はお揃いのポロシャツに黒の長ズボンを履き、派遣社員の私は私服だった。



 ペットボトルのドリンクや家具や電化製品や駄菓子やカップラーメンなどなどを、仕分けしてパレットと呼ばれる板に載せていく。



 ただひたすら。黙々と。

 同じ派遣会社から来たのは二人だけだった。

 今日の派遣先は瑠衣は一緒じゃなかった。

 瑠衣は不動産会社の事務員の面接に行っている。その後に働きに行ける家の近くのスーパーの品出しの派遣に行くと言っていた。



 私は重い荷物を次々と捌さばきながら、心でニヤついていた。

 いつもならへこんで、落ち込みそうなぐらいの重労働だってへっちゃら!



 なぜなら〜。ウフフッ。



 私は昨日の喫茶「MOON」で会うマルさんとのことを思い出していた。

 初めて私はマルさんと……。



 考えただけで、するはずのないお気に入りのお店の喫茶「MOON」の芳しい珈琲の匂いがする気がしていた。

 昨日は最高の気分だったな。
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