ルシウス様、お姉さまに張り合わないでください!
 私の告白にお姉さまが目を丸くする。

「なんだい、あの男はそんな事を言ったのか?」
「いいえ。でもルシウス様が私に優しくするのは、マーシャル公爵に厳しくしつけられたからだと聞いたので、それで……」
「ああ、なるほど」

 お姉さまがうんうん頷きながら、私の体をまさぐる。その動きにつられ、私の口から日頃の想いが溢れ出した。

「それに、ルシウス様が私に触れ、愛をささやくのは、お姉さまに張り合っているからだと思うのです。お姉さまの行為を上書きして、私を愛でる役目は自分だと誇示する。そのためだけに私に優しくしていると感じるのです」
「はあぁ。そうかい、そうかい」

 お姉さまは何とも言えない返事と共に、私の身体を撫でまわしている。自分の頭をコツンと私の頭にぶつけ、悪魔みたいに意地悪くささやいた。
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