ルシウス様、お姉さまに張り合わないでください!
「当時は子どもの戯言だと思っていました。ですが息子は一人で学をつけ、剣術を磨き、姫に相応しい人間になるべく努力を続けました。であれば、私も真剣に向き合わねばなりません。姫をお守りする心得をたたき込んだのです。しかし」

 マーシャル公爵が申し訳なさそうにはにかむ。

「どこをどう間違ったか、姫に過剰なスキンシップを……申し訳ない」
「ああ、いえ、お気になさらないでください、マーシャル公爵」

 私は慌てて手を振りつつ、心の中でぐるぐると渦巻く様々な感情に翻弄されていた。
 ルシウス様は、本気で、心から、私を大事に想ってくれている?
 そうなの? そうなのだ!
 寄り添うのも、肩を抱くのも、腰に手を回すのも、隙あらば口付けするのも、「愛する姫」と言うのも、全部全部、心の底からの、本心!
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