ルシウス様、お姉さまに張り合わないでください!
「姫、言ったでしょう。俺は姫のためならなんでも出来る」

 マーシャル公爵や貴族たちの視線が集まる中、ルシウス様が私の指先にキスをする。人々がざわめく。
 指先が熱い。彼の唇から力を貰ったみたい。
 ルシウス様がいつまでも私の手を握り続ける事が、私は嬉しかった。ずっと離さず私を大事にしてくれる事が、たまらなく嬉しい。
 彼の手に力が入る。

「さあティアナ姫、茶会の準備はこれからです。プログラムを組み直しましょう」

 ブロンドの前髪からルシウス様の深紅の瞳が覗く。彼となら出来る。そう確信出来る真っすぐな眼光が私を射抜いた。

「ええ!」

 私たちはルシウス様が集めてきた資材の魅力を存分に発揮できるよう、そして招待客が心の底から楽しめるよう、新たなプログラムの選定に取り掛かった。
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