ルシウス様、お姉さまに張り合わないでください!
『ティアナ姫。貴女は俺の太陽です』

 憂いを帯びたルシウス様が言う。

『初めて出会ったその日から、俺は貴女のために生きると誓った。それは今も変わりません。貴女を想い、貴女のためだけに生き、貴女だけを支えています。他の何者かのためにスパイ活動をおこなうなど、ありえません』

 悲しげな表情だけど、ルシウス様の赤い瞳はいつもと同じ鋭さで力強く私を見つめている。ルシウス様はそれが本心だと言う。スパイではない、騙してはいないと。
 彼の言葉をどう捉えるかは、全て私次第だ。

『俺はスパイではない。誓います。他の誰に信じてもらえなくても、ティアナ姫、貴女様に信じてもらえればそれでいい』

 ルシウス様が一歩ずつ私に近づいてくる。私も一歩、二歩と彼へ近づいた。
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