ルシウス様、お姉さまに張り合わないでください!
「なんだい、ルシウス。嫉妬か?」

 お姉さまが挑発するように笑うと、ルシウス様の腕がぴくりと動いた。
 今度はルシウス様が私を引き寄せる。

「だったらなんだと言うのです」

 ルシウス様の手によって、私の体はまたルシウス様の胸元にすっぽり収まってしまった。大きくて、温かく、心地よい。
 寄り添う私の頭をルシウス様が撫でる。

「お可哀想なティアナ姫。さぞ怖かった事でしょう。こんなに震えておられる。しかしご安心ください。このルシウス・マーシャル、全身全霊をかけて姫をお守りいたします」

 そう言うや否や、ルシウス様の顔が私の顔に近づいた。甘い匂いがふわりと香り、彼は私の額に口づける。私の身体はきゅんっと弾けそうだ。

「ティアナ姫。俺、女王陛下には負けませんから」

 耳元でささやいたルシウス様は、今度は私の髪にキスをした。
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