ルシウス様、お姉さまに張り合わないでください!
 でも、自分で言って自分で虚しくなる。
 私はルシウス様に利用されている。
 それをみんなの前で認めることが虚しくて、恥ずかしくて、悔しい。けれど帝国のため、このくらいの犠牲は仕方ない。

 私はルシウス様に利用されていた。
 だから私も、ルシウス様を利用する。

 自然と私の体に力が入る。お姉さまは私を眺め、立ち上がった。

「わかった。お前に任せよう、ティアナ。許可を与える。行ってこい」
「はい!」

 お姉さまに託され、私は牢獄へと向かった。

 本当は、ルシウス様と対峙するのが怖い。
 何を言われるかわからない。丸め込まれるかもしれない。
 私の心がどう動くかわからない。

 でも、今度は私が彼を利用しなくては。
 ぐちゃぐちゃな気持ちを「帝国のため」と説き伏せ、私は地下牢へ続く階段を降りた。
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