ルシウス様、お姉さまに張り合わないでください!
「俺は、陛下の後見人だった父の教育を受けながら、外交を始めました。公務としてではなく、遊びみたいなものです。まだ子どもだったのも良かったのでしょう。懐に入り、国や人と縁を結ぶ。どんどん縁が繋がって、いつしか俺は、陰でこの国の外交をまとめるまでになっていました」

 城にも外交官はいる。けれど彼らは、ただ手紙をやり取りするだけだ。
 その裏で、ルシウス様が縁を繋いでいた? 交流を続けていた?

 もしそうだとしたら、衝撃だ。
 城内の誰もルシウス様の働きに気付いていない。
 働くどころか、彼に対し遊び人のようなイメージを持つ者も少なくない。
 でも実際には遊んでいたわけではなく、あちこち飛び回り、外交を重ねていた――?

「俺が南国の王について詳しいのも、これまでの外交によるものです。気難しい王が外交の席につくよう、俺は幾度となく南国へ出向き、交流を重ねてきました。それもすべて、ティアナ姫のためです」

 不意に私の名前が出てきて戸惑ってしまう。
 彼の甘言が本心なのか、私を騙そうとしているのか、判断がつかない。
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